![]() 放課後の廊下を、すごい速さで走る私達を、すれ違う生徒という生徒が、振り返って見てくる。 「ちょっと……私はいいから、離して……離してよ!」 私は大きな声で、この赤ジャージ彼女に抵抗していた。 私の指を掴む彼女は、その声に反応することなく、振り返らずにそのまま走っていく。 そんな彼女に、私はいままで一番大きな声を出した。 「ねえ〜ねえったら!」 その私の声に、ピクっと頭を動かし、やっと反応した彼女は、走りながら横目で、振り返ってきた。 「なら、なんでいつも、この廊下の窓から見ていたの?」 彼女は、私にとっては痛い質問をしてきた。 「そ、それは……」 「私達を見ていたのでしょう?」 「…………」 彼女の問いに答えられなかった。 そう、いつも、この廊下の窓から、彼女達が練習するのを見ていたからだ。 「一緒にやりたかったんだよね?」 彼女はそう言うと、走るのを止めて、そっと私の手を両手で掴んできた。 「やりたかったんだよね?」 「え? ……あ、その……」 言えるわけがなかった。 素直に、ここでうなづけば、私も一緒にできる。 そんな簡単なことでさえ、どこかで踏み止まってしまう自分がいる。 「だから、一緒にみんなの所へいこうよ!」 「で、でも私は……私、準備が……できて」 いきなり私が行って、受け入れてくれるのものだろうか不安だった。 そんな不安な表情をした私に気づいたのだろうか、彼女は肩にかけていたバッグを、軽く上にあげて私に見せた。 「ちゃんとアナタのも、用意してあるから」 彼女は、バッグを肩にかけ直し、再び私の指を強く掴んできた。 「だから、大丈夫! さあ、いきましょう!」 そして走り出す彼女につられて、私もまた再び走り出す。 「そ、そういう問題じゃないっ――」 叫ぶ私に、彼女は振り返り、優しく微笑んだ。 彼女の掴む私の指からもまた、温かく優しかった。 こうして、私は少し強引――ううん かなり強引な彼女に連れられて グラウンドへと走っていくのであった。 強くて、優しい、温かい手に引っ張られて―― |